2021年1月25日

授業紹介:食品衛生学実習【食の安全07】

最終更新: 2021年6月10日

こんにちは。食品衛生学研究室の大仲です、初めてのブログへの登場になります。

よろしくお願いします。

今回は、食品生命科学科3年生前期の必修科目『食品衛生学実習』についてお話させていただきます。

食品衛生学実習では、2年次の微生物学実習で身につけた技術を応用する形で、実際にスーパーで購入した食材について食品衛生学的な見地からの検査を行っています。

さらに本実習では、実際に実習で使用する、培地試薬、その培地や試薬を作るための器具(コルベンやメスピペット)の準備から行います。

ですので、実習室に来たら、すべての準備が行われていて、そこで実習書に沿って実験をすればOKという形ではありません。

受け身ではなく、自発的に作業等を行わないと実習が全然進まず、逆に自分自身で考えていけばどんどん先が見えていく形の実習を行っています。

今回はその中で、食肉からのサルモネラ菌の検索を行った実習を紹介します。

サルモネラ菌による食中毒は、食肉や卵が原因食品になることが多く、年間500~1000名が発症しています。

実習では、まずサルモネラ菌がいるかいないかを検査する方法を検索します。

その方法が食品衛生法という法律に基づいた方法であるかがとっても重要です。

なぜでしょう?

食品衛生法では、食中毒を予防するために食品ごとの規格基準が設定されており、その基準をクリアしないと食品を販売できません。

そのため、法律に基づいて、菌が「いる、いない」を判断する必要があるのです。

今回は、その方法の中で、下記のように5日間の実験を行いました。

1日目はスーパーで購入してきた食肉を前増菌液(弱った菌を回復させる)に入れて37℃で一晩培養します(写真①)。

2日目は、前増菌培養液を、サルモネラ菌は増殖できて他の菌は増殖しにくい特殊な液体培地(RV培地)に入れて42℃で一晩培養します(37℃より高いのが重要です)(写真②)。

3日目は、RV培養液で増えた菌を、白金耳という器具を用いて取ります(釣菌(ちょうきん)といいます)。取った菌を、RV培地とは成分が異なる、サルモネラ菌を選択的に増殖する固形(平板)培地(DHL(SS)寒天培地)に移して、37℃で一晩分離培養します。

※分離培養:菌と菌がしっかりと分かれるように培養すること

4日目は、サルモネラを疑うコロニー(菌)を、白金線を使って釣菌して、菌の性状(どの糖とかアミノ酸の分解性などを見る)を調べる培地(TSI培地、LIM培地)に植え、37℃で一晩分離培養します(写真③)。


 
5日目は、TSL培地、LIM培地に増えた菌を観察して、サルモネラの性状にあてはまるものがいるかいないかを判定します(写真④)。

実験の手順

今回、22か所のスーパーから食肉を購入して調べたところ、14か所のスーパーからサルモネラが見つかりました。

実際には、これらの食肉は生ではなく加熱調理して食べるので、直接的には問題となりません。

しかし、食肉を扱った包丁やまな板を洗うことなく、サラダ等で食べるものの調理にも使用すると、サルモネラに感染してしまう危険があることがわかりました。

ここで、食中毒を防ぐための3原則を紹介します。

つけない  増やさない  やっつける

これは、食中毒を起こす菌をいろいろなものに汚染させない(つけない)、菌が増える状態にしない(すぐに冷蔵庫に入れて菌を増やさない)、しっかりと消毒等を行う(アルコール等で菌をしっかりと殺す)、ということです。実践してみてください。

この他にも、食品生命科学科では就職後にも役立つ知識・技術を身に付けられる、実践的で魅力的な実習が沢山あります。

今後ブログでも随時ご紹介していきますので、お楽しみに!

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食品衛生学研究室

大仲賢二講師

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